ナオミは言った。「どうか、ナオミ(快い)などと呼ばないで、マラ(苦い)と呼んでください。全能者がわたしをひどい目に遭わせたのです。 出て行くときは、満たされていたわたしを主はうつろにして帰らせたのです…。ナオミはこうして、モアブ生まれの嫁ルツを連れてモアブの野を去り、帰って来た。
ルツ記1章20~22節ナオミは言った。「どうか、ナオミ(快い)などと呼ばないで、マラ(苦い)と呼んでください。全能者がわたしをひどい目に遭わせたのです。 出て行くときは、満たされていたわたしを主はうつろにして帰らせたのです…。ナオミはこうして、モアブ生まれの嫁ルツを連れてモアブの野を去り、帰って来た。
ルツ記1章20~22節ルツ記を一読すると日本の嫁姑物語に見えますが、それとは全く異なり、神と人の関係を教える単純でそれでいて偉大な物語です。
ベツレヘム地方が飢饉となり、エリメレクとナオミ夫婦そして2人の息子たちは、モアブに移り住みます。しかし、そこで夫のエリメレクが死にます。その後、2人の息子達はモアブの女を嫁にしますが彼らも死に、残されたのはナオミと2人の嫁オルパとルツだけになってしまいます。ナオミは仕方なくモアブからベツレヘムに帰ることにしますが、途中でオルパは実家へもどり、異邦人でありながらナオミから離れずベツレヘムまでついて行ったのがルツでした。
ベツレヘムに戻った彼女たちは、ルツの落ち穂拾いから生活を始めます。ルツが導かれた畑はボアズの畑で、ボアズはエリメレク家の親戚でした。
ここでナオミは、ルツに対するボアズの憐れみの大きさにより目が開かれていきます。そしてナオミは、ルツにボアズに身を委ねることを教えます。刈り入れた麦畑で眠るボアズの衣の裾にルツは身をしのばせます…。そこから、ボアズとルツは結婚へと進みます。
これは、神から離れた人間の物語であり、神に帰っていく物語です。 この家族が出会った飢饉は、霊的飢饉です。なぜなら、ベツレヘムには裕福な親戚ボアズがいました。彼に飢饉はないはずです。なによりも、「親戚」には「贖い人」という意があるのです。
彼らの飢饉は、贖い人(親戚)に寄り頼まず、モアブ(この世)へ救いを求めたことでした。 モアブで得たものは、夫の死でした。夫=主人ですから、主を失う=すなわち神を失ったことになります。さらに、息子たちはこの世の娘と結婚しました。それは、死が支配するこの世と同化したことで、彼らも命を失うことになりました。
しかし、それでもエリメレク家に嫁いだモアブの女ルツは、堕落した信仰家族の中にモアブの偶像とは違う神が見えていました。だからナオミの勧めを頑なに拒んだルツの口から「あなたの民は私の民、あなたの神は私の神」という言葉が発せられたのです。
ミレーの絵「落ち穂拾い」で有名なこの物語、どうぞメッセージを通してお聴きください。
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